2020年度の保険者インセンティブについて概要を理解しておきましょう
2020年04月30日
“骨太方針2019”以降、俄かに注目が集まっている“保険者インセンティブ”
「経済財政運営と改革の基本方針2019(いわゆる“骨太方針2019”)」に明文化されて以降、多くの介護経営者様が意識されるようになり、頻繁に質問をお受けするようになった“保険者インセンティブ”。
2018年度・2019年度までは予算規模200億円だったものが2020年度には倍増の400億円規模となり、インセンティブについても下図の通り、「保険者機能強化推進交付金(≒保険者としての機能整備に対する交付金)」と「介護保険保険者努力支援交付金(≒健康寿命延伸・社会保障費削減に対するインパクトが大きい取り組みや成果に対する交付金)」の2種類に分けられたことについては以前のニュースレターにて既にお伝えさせていただいた通りです。
保険者インセンティブの図はこちら
↓
https://carebp.com/img_useful/img_97_1.jpg
その後の2020年3月23日、厚生労働省より両交付金の評価指標があらためて示される運びとなりました。今回はこの“2020年度版保険者インセンティブ”について内容の確認、及びポイントについてピックアップし、皆様にご紹介してまいります。
「保険者インセンティブ」評価指標の概要・ポイントとは?
では、早速、中身の確認に移ってまいりましょう。先ずは、評価指標の概要についてです(下図)。
評価指標の概要についての図はこちら
↓
https://carebp.com/img_useful/img_97_2.jpg
2018年度は612点満点、2019年度は692点満点で評価指標が構成されていましたが、今回は大幅に増えて1,575点満点。評価項目については2018年度・2019年度と変わらず、大項目は3項目(=「1.PDCAサイクルの活用による保険者機能の強化に向けた体制等の構築」「2.自立支援、重度化防止等に資する施策の推進」「3.介護保険運営の安定化に資する施策の推進」)となっており、2、3についてはその下に更に中項目が設けられています。
また、表の右側にある(内、支援)というのは「保険者機能強化推進交付金の評価指標であると同時に、介護保険保険者努力支援交付金の評価指標でもる」指標の合計点数を指しています。
この概要表から推察するに、「保険者機能強化推進交付金(1,575点満点)の結果を分け合う財源が190億円」「介護保険保険者努力支援交付金(880点満点)の結果を分け合う財源が190億円」と言う事から考えると、当然ながら「介護保険保険者努力支援交付金」の対象評価指標にて高い点数を取った方が保険者にとっては財源配分が増加する可能性が高くなる」ことは誰もがお分かりになるのではないか、と思われます。
では、一体、どのような評価指標が「介護保険保険者努力支援交付金」の対象となっているのか?紙幅の関係上、ここでは「保険者機能強化推進交付金」対象評価指標が100%「介護保険保険者努力支援交付金」の評価指標にスライドしている「(5)介護予防/日常生活支援」の中から特に介護事業者に関係がありそうな内容を10項目、下記の通り抜粋してお伝えさせていただきたいと思います(それ以外の項目についても是非、文末のURLよりダウンロードしてご確認下さい)。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1.
<指標>関係機関との意見交換や都道府県等による継続的な支援等を踏まえ、介護予防・生活支援サービス事業における多様なサービス(※)及びその他の生活支援サービスを推進するための課題を明らかにした上でそれに対応する方針を策定・公表するとともに、実現に向けた具体的な方策を設定・実施しているか。
※基準を緩和したサービス、住民主体による支援、短期集中予防サービス、移動支援を指し、予防給付で実施されてきた旧介護予防訪問介護相当サービス・旧介護予防通所介護相当サービスに相当するサービスは含まない。
ア 多様なサービス及びその他の生活支援サービスを推進するための課題を明らかにした上でそれに対応する方針を策定・公表している
イ 課題への対応方針の実現に向けた具体策を設定・実施している
<配点>ア20点 イ10点 複数選択可
<時点>2019年度又は2020年度(予定)の取組 が対象
2.
<指標>サービスC(短期集中予防サービス)を実施し、かつ、サービス終了後に通いの場へつなぐ取組を実施しているか。
<配点>30点
<時点>2019年度の取組が対象
3.
<指標>通いの場への65 歳以上の方の参加者数はどの程度か
(【通いの場への参加率=通いの場の参加者実人数/高齢者人口】 等)
ア 週一回以上の通いの場への参加率
a 全保険者の上位1割 b 全保険者の上位3割 c 全保険者の上位5割 d 全保険者の上位8割
イ 週一回以上の通いの場への参加率の変化率
a 全保険者の上位1割 b 全保険者の上位3割 c 全保険者の上位5割 d 全保険者の上位8割
ウ 月一回以上の通いの場への参加率
a 全保険者の上位1割 b 全保険者の上位3割 c 全保険者の上位5割 d 全保険者の上位8割
エ 月一回以上の通いの場への参加率の変化率
a 全保険者の上位1割 b 全保険者の上位3割 c 全保険者の上位5割 d 全保険者の上位8割
<配点>アa及びイa各20点 アb及びイb各15点 アc及びイc各10点 アd及びイd各5点
ウa及びエa各10点 ウb及びエb各8点 ウc及びエc各5点 ウd及びエd各3点
それぞれa~dのいずれかに該当すれば得点
<時点>前年度実績(調査時点)
9.
<指標>医師会等の関係団体との連携により、介護予防の場にリハビリテーション専門職等が関与する仕組みを設け実行しているか。(地域リハビリテーション活動支援事業等 )
<配点>20点
<時点>2019年度の取組が対象
10.
<指標>地域の多様な主体と連携しているか。
ア 地域の多様な主体と連携して介護予防を進める体制を構築している
イ 多様な主体が行う通いの場等の取組・参加状況を把握している
<配点>各10点 複数選択可
<時点>ア 2019年度の取組が対象 イ 2019年度又は2020年度(予定)の取組が対象
11.
<指標>社会福祉法人・医療法人・NPO・民間サービス等と連携した介護予防の取組を実施しているか。
ア 多様な主体の提供する予防プログラムを通いの場等で提供している
イ 参加前後の心身・認知機能等のデータを管理・分析している
ウ 参加者の心身改善等の成果に応じて報酬を支払う成果連動型の委託を実施している
エ 参加者の○%以上が心身・認知機能等を改善している
<配点>ア及びイ各10点 ウ及びエ各5点 複数選択可
<時点>○ ア、イ、エ 2019年度の取組が対象
○ ウ 2019年度又は2020年度(予定)の取組が対象(複数年度契約で事業を実施している場合も含む)
13.
<指標>経年的な分析を可能がなるよう、通いの場の参加者の健康状態等をデータベース化しているか。
<配点>20点
<時点>2019年度の取組が対象
14.
<指標>通いの場の参加者の健康状態等の把握・分析により、通いの場の効果分析を実施しているか。
<配点>15点
<時点>2019年度の取組が対象
15.
<指標>自立支援・重度化防止に取り組む介護サービス事業所に対する評価を実施しているか。
<配点>20点
<時点>2019年度の取組が対象
16.
<指標>高齢者の社会参加を促すため個人へのインセンティブを付与しているか。
ア 参加ポイント事業を実施しているか
イ 高齢者のポイント事業参加率が当該地域の高齢者全体の○割を超えているか
ウ ポイント事業参加者の健康状態等のデータベース化を実施しているか
エ ポイント事業参加者の○%以上が心身・認知機能等を維持改善している
<配点>各10点 複数選択可
<時点>2019年度の取組が対象
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
自社が貢献できそうな内容を読み取り、早めに取り組みの準備・整備を
以上、保険者機能強化推進交付金及び介護保険保険者努力支援交付金(2020年度市町村版)の評価指標の概要、並びに保険者がより高いモチベーションで取り組む可能性が高いと思われる項目から幾つかの具体的評価内容を抜粋してお伝えさせていただきました。
事業者の皆様としては、先ずは評価指標の内容全体にしっかり目を通した上で「自社に影響を及ぼしそうな指標」「自社が貢献できそうな指標」等についてピックアップし、早めに準備・整備を行っておく必要があると言えるでしょう。
私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報・事例等を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。
※文中でも申し上げた通り、紙幅の都合上、今回は「2-(5) 介護予防/日常生活支援」の一部の指標しかご紹介できませんでしたが、是非、お時間を取ってその他全ての指標に目を通していただければと思います。関心をお持ちになられた方は、下記よりダウンロード下さいませ。
※2020年度保険者機能強化推進交付金・介護保険保険者努力支援交付金に係る評価指標(PDFのp1~p17までが都道府県向け評価指標、p18~p40までが市町村向け評価指標になっています)
↓
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000610972.pdf
|