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経団連からの提言内容を確認しておきましょう
2021年11月04日

今後の医療・介護制度改革に向けた提言を経団連が公表

月末に衆議院選挙を控える中、行政の様々な動きが一時的に緩やかになっていた2021年10月。そのような中、一般社団法人日本経済団体連合会、通称「経団連」は「今後の医療・介護制度改革に向けて」という提言書を2021年10月12日に公表致しました。

今後の行政における介護保険運営、そしてその延長線上にある2024年度法改正を見据えつつ、経済団体側は我々の業界をどのように見ているのか?今回はその概要・ポイントについて抜粋してご紹介させていただきたく思います。




「今後の医療・介護制度改革に向けて」介護事業者が注目すべきポイントとは

それでは早速、中身を確認してまいりましょう。
経団連からの提言内容は基本、2019年度の提言内容を踏襲する形となっており、それらの進捗が遅れているもの(=表内右端「進捗状況」が△や×となっているもの)に対しての進言(苦言?)が中心となっています(下記)。

※下記の表をご確認ください

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経団連が上記提言を行う背景とは?

そもそも何故、経済団体である経団連が介護保険の運営に対する提言を行うのか?

よりダイレクトに申し上げるなら、「介護保険とは関係ない外部団体が、何故、ここまで突っ込んだことを提言してくるのだろう?」とお感じになられている方も中にはいらっしゃるかもしれません。

この理由・背景を抑えておくことは今後の介護保険の変化を読み解く上で重要な側面になるかもしれず、その観点から本提言書に書かれていた文章を幾つか抜粋させていただきたく思います。ご確認の上、是非、内容や視点について、頭の片隅に置いておいていただければ幸いです(以下、抜粋。重要と思われる部分には太字)

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1.さらなる社会保障制度改革の必要性
新型コロナウイルス感染症の拡大が、医療・介護の提供体制に大きな影響を及ぼしている。想定を超える事態の中で、医療・介護従事者をはじめとする関係者の尽力による対応が続けられている。今般の感染症の経験を踏まえ、緊急時の医療提供体制の構築をはじめとする新たな課題への対応を急ぐ必要がある。
一方で、わが国の人口構造を踏まえた社会保障制度改革も待ったなしであり、その歩みを止めてはならない。すでにコロナ禍以前より、少子高齢化が進む中、制度の持続可能性の確保が課題とされており、その対応に向けた取り組みが行われてきた。「社会保障と税の一体改革」を通じた制度の充実や安定財源の確保、団塊の世代が75歳以上となり始める2022年を念頭に置いた「全世代型社会保障改革」など累次の改革である。漸次、改革は進展してきているものの、世界に類を見ない高齢化の進行などを背景に、今後も医療・介護に要する給付の増加傾向は継続する。2018年に実施された政府推計では、さらなる高齢化などにより、医療・介護給付費は、2040年に向けて経済成長を上回るペースで増加する見通しとなっている(図表1参照)。人口動態の変化という構造的な要因に伴うこうした趨勢は、上記改革を経ても、あるいはコロナ禍を受けても変わるものではない。

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※図表1 社会保険給付費の推移と見直し(2018年時点の推計)

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この状況を、制度の支え手の視点から概観すると、高齢者の医療・介護給付費の増加は現役世代が負担する保険料の伸びにもつながる構図となっていることが特徴となっている。こうした中で、例えば、医療については、現役世代からの保険料収入のうち約4割が、高齢者向けの給付に充てられている(図表2参照)。
社会保障制度は、国民一人一人が社会経済活動に安心して参画するための基盤であり、経済成長や企業活動に欠かせない社会的共通資本である。こうした観点から、限られた資源を適切に配分するとともに、皆で負担を分かち合っていかなければならない。しかし、医療や介護サービスの提供に際し、資源の活用に非効率性があったり、給付や負担のあり方に過度のアンバランスが生ずることは、制度に対する信頼感や持続可能性の低下につながる。実際、現役世代の保険料負担の増加は可処分所得拡大の足かせとなっており(図表3参照)、制度に対する将来不安も相まって、国内経済の柱となる消費活動にも少なからず影響を与えている。

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※図表2 現役世代の保険料収入の使途(2018年度、組合健保、医療)

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※図表3 現金給付総額と社会保険料負担額の増加分の比較

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今後、現役世代の減少が一層顕著となっていく中、医療・介護給付費の増加に歯止めがかからなければ、現役世代の保険料負担の一層の増加も避けられず、さらなる可処分所得の低下を招くことになる。同時に、医療・介護給付に対する公費支出も増え、国や地方の財政の一層の悪化にもつながる。総じて、社会保障制度の持続可能性のみならず、わが国の経済成長にも悪影響を与えかねない。
こうした中にあっては、社会保障制度の持続可能性の確保に向け、間断なく次なる改革に取り組むことが不可欠である。とりわけ、わが国の今後の社会経済の安定性を踏まえれば、現役世代の負担上昇を抑制する観点から医療・介護制度のさらなる改革に取り組むことが重要であり、この取り組みが、また、社会保障制度の持続可能性にもつながるものと考える。

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「社会保障の観点」のみならず「国全体の観点」から未来予測を

以上、経団連の提言書「今後の医療・介護制度改革に向けて」から介護事業者様に特に確認・認識いただきたい箇所を抜粋し、ご紹介させていただきました。

「失われた30年」等と揶揄されることも含め、長年にわたり日本の経済成長が低迷してきた(今も現在進行形)ことは国全体としても極めて深刻な問題であり、その観点から見た場合、社会保障関連の運用においても「経済側への影響」に一定の注意を払うことがとても重要であることは想像に難くありません。

そのような視点を持ちつつ、是非、介護経営者の皆様としては冷静な視点で未来を予測し、早め早めに手を打っていかれることを強くおススメするしだいです。我々も今後、新たな情報が入り次第、皆様へ迅速にお伝えするよう努めてまいります。

※上記内容の引用元資料はこちら

https://www.keidanren.or.jp/policy/2021/091.html






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