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来月から始まる介護職員処遇改善支援補助金について確認しておきましょう
2022年01月27日

岸田政権の“分配”の目玉施策「介護職員の更なる処遇改善」

“成長と分配”を主要テーマに掲げる岸田政権にとって、“分配”の目玉施策の一つとして位置づけられている「介護職員の更なる処遇改善」。その施策を一時的なものとして終わらせないようにするべく(≒財源確保を確たるものにするべく)、今年10月より「第3の処遇改善加算(正式名称は未定)」が新設されることになったことは既に多くの方がご存知かと思われます。

が、その一方、新加算の創設タイミングまでの「つなぎ的役割」として令和3年度補正予算に基づき新たに設けられた「介護職員処遇改善支援補助金」については、「まだよく分かっていない」と仰る方々が多いような印象を覚えます(恐らく現時点(1月末時点)において、自治体から事業者への発信度合にバラツキが生じていることが理由ではないかと思われます)。

この観点から、今回は「介護職員処遇改善支援補助金」と「第3の処遇改善加算」の概要並びに相違点について確認を進めてまいります。




「介護職員処遇改善支援補助金」と「新加算」 その概要と相違点とは

それでは早速、内容に入ってまいりましょう。
先ずは介護職員処遇改善支援補助金の概要については下記の通りです(重要と思われる部分は太字にしています)。

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趣旨
介護職員らの給与を月額3%ほど引き上げる。

時期
今年2月から9月までの一時的な措置。

取得要件
○ 既存の処遇改善加算の(I)から(III)のいずれかを取得していること。
○ 処遇改善加算を取得できない訪問看護、訪問リハ、福祉用具貸与・販売、居宅療養管理指導、居宅介護支援は対象外。
○ 原則として今年2月から実際に賃上げを行っていること。就業規則などの改正が間に合わない場合は、今年3月中に、今年2月分も含めた賃金改善を行うことも可。
補助額の3分の2以上を介護職員らのベースアップ(基本給、または毎月決まって支払われる手当)の引き上げに使うこと。
介護職員もその他の職員も、賃上げ額の3分の2以上をベースアップに充てること。
今年2月、3月の賃上げに限って、就業規則の改正などにかかる時間も考慮し、一時金のみによる賃上げも可。

対象職種
介護職員。事業所の判断により、その他の職員の賃上げに補助額を充てる柔軟な運用も可。

補助額
介護職員数に応じてサービスごとに設定された補助率を、各事業所の総報酬(既存の処遇改善加算
特定処遇改善加算の分を含む)に乗じた額。補助率は以下の通りで、実際の交付は今年6月から。
【介護職員処遇改善支援補助金 交付率】
○ 訪問介護 ○ 夜間対応型訪問介護 ○ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 :2.1%
○ 訪問入浴介護 :1.0%
○ 通所介護 ○ 地域密着型通所介護 :1.0%
○ 通所リハビリテーション :0.9%
○ 特定施設入居者生活介護 :1.4%
○ 認知症対応型通所介護 :2.1%
○ 小規模多機能型居宅介護 ○ 看護小規模多機能型居宅介護 :1.6%
○ 認知症対応型共同生活介護 :2.0%
○ 介護老人福祉施設 ○ 短期入所生活介護 :1.4%
○ 介護老人保険施設 ○ 短期入所療養介護(看護) :0.8%
○ 介護医療院 :0.5%

申請方法
○ 申請は都道府県に対して行う。
賃上げ開始月(今年2月か3月)に、その旨を記載した用紙をメールなどで提出する。
○ 介護職員、その他の職員の月額の賃上げ額を記載した計画書を提出する。賃上げ額は事業所全体のものが中心で、職員ひとりひとりの記載までは必要ない。計画書の受け付けは今年4月から。様式は近く公表される。

報告方法
○ 実績報告書を都道府県へ提出する。事業所全体の賃上げ額を記載するもので、職員ひとりひとりの実績までは必要ない。要件を満たさない場合、補助金は返還となる。

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続いて新加算(既存の処遇改善加算、特定処遇改善加算に並ぶ"第3の処遇改善加算")についてです(上記同様、重要と思われる部分は太字・下線としています)。

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趣旨
補助金と同じ。

時期
今年10月からの恒久的な措置。

取得要件
時期的な規定を除けば補助金と同じ。
○ 既存の処遇改善加算の(I)から(III)のいずれかを取得していること。
○ 処遇改善加算を取得できない訪問看護、訪問リハ、福祉用具貸与・販売、居宅療養管理指導、居宅介護支援は対象外。
加算額の3分の2以上を介護職員らのベースアップ(基本給、または毎月決まって支払われる手当)の引き上げに使うこと。
介護職員もその他の職員も、賃上げ額の3分の2以上をベースアップに充てること。

対象職種
補助金と同じ。

補助額
介護職員数に応じてサービスごとに設定された加算率を、各事業所の報酬(既存の処遇改善加算、特定処遇改善加算の分を除く)に乗じた額。加算率は以下の通りで、実際の給付は今年10月サービス提供分から。
【介護職員処遇改善新加算 交付率】
○ 訪問介護 ○ 夜間対応型訪問介護 ○ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 :2.4%
○ 訪問入浴介護 :1.1%
○ 通所介護 ○ 地域密着型通所介護 :1.1%
○ 通所リハビリテーション :1.0%
○ 特定施設入居者生活介護 :1.5%
○ 認知症対応型通所介護 :2.3%
○ 小規模多機能型居宅介護 ○ 看護小規模多機能型居宅介護 :1.7%
○ 認知症対応型共同生活介護 :2.3%
○ 介護老人福祉施設 ○ 短期入所生活介護 :1.6%
○ 介護老人保険施設 ○ 短期入所療養介護(看護) :0.8%
○ 介護医療院 :0.5%

申請方法
時期的な規定を除けば補助金と同じ。
○ 申請は都道府県に対して行う。
○ 介護職員、その他の職員の月額の賃上げ額を記載した計画書を提出する。賃上げ額は事業所全体のものが中心で、職員ひとりひとりの記載までは必要ない。この計画書の受け付けは今年8月から。

報告方法
補助金と同じ。

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ご確認の通り、「介護職員処遇改善支援補助金」も「第3の処遇改善加算(新加算)」も運用面では“同一のもの”と捉えても何ら差し支えないと思われますが、「補助金」と「加算」という性質上の違いから、交付率が異なっている点には注意が必要と思われます(≒補助金は利用者負担が無いが、加算では利用者負担が発生するため)。




各社各社にて運用に関する創意工夫を

以上、簡易ながら、今回の介護職員賃上げに対する概要についてお伝えさせていただきました。国の処遇改善施策を自社の“組織活性化”や“働きがいの向上”とどう連動させていくか?は、正に経営者にとっての腕の見せ所と言っても過言ではないかもしれません。是非、周囲の幹部・ブレーンの皆様としっかり議論しながら様々、創意工夫を検討してみていただければと思います。

我々も今後、更なる情報収集を行い、新たに有益な情報が入り次第、皆様へ迅速にお伝えするよう努めてまいります。

※上記内容の引用元資料はこちら

https://www.joint-kaigo.com/articles/2022-01-18.html



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