個人・法人の「更なる負担増」を踏まえた今後の介護経営の心構えと事前準備
2012年11月16日
平成24年10月納付分より厚生年金保険料率が16.412%から16.766%へ上昇!
既にご存知の方々も多いと思いますが、平成24年9月分(平成24年10月末納付分)から厚生年金保険料の料率が0.354%上昇したことにより、法人と従業員各々の負担が上昇しました。
「え?去年も一昨年も上がったのに、また今年も上がるの?」
ある介護経営者の方からそのような声をいただきましたが、今年どころか、これから毎年、平成29年9月まで厚生年金保険料は段階的に引き上げられることが決まっていることをご存じない経営者の方が意外に多いようです。
今から約8年半前の平成16年6月5日に「国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、国民年金と厚生年金保険について保険料負担と年金給付の仕組みが大幅に改正されました。
その中で、平成16年9月分までは13.580%だった厚生年金保険料を、保険料率が18.30%に達する平成29年9月まで毎年0.354%ずつ引き上げていくことが既に決められています(ここで一旦頭打ちとされていますが、日本の財政状態を考えると到底これではすまないのではないかと個人的には感じています)。
本法律の中では同時に「基礎年金の国庫負担割合を引き上げる」ことも謳われており、その点を踏まえれば、「単なる負担増」とは言えない側面もあるかもしれません。しかし、“今”を経営している企業経営者にとってみれば、自動的な負担増は単純に利益圧迫となり、納得がいかない、と思われるのが本音ではないでしょうか。しかし、このような「負担増」「経営圧迫」の波は収まるどころか、これからますます「本番」を迎えます。
前回の記事では、消費税アップに対する介護事業者の心構えと事前準備についてお伝えをさせていただきました。その後、読者の方から、「社会保障・税一体改革や東日本大震災の復興のため、消費税以外にも私たちの経営に影響を及ぼすものは沢山あると聞いているけど、他にはどんなものがあるのですか?」との質問をいただきました。
法人としての直接の負担増は消費税増税と厚生年金保険料の上昇が代表例として挙げられますが、その他にも、我々の顧客であるご利用者(ご家族)の負担が増えるものも幾つか決まっています。
そこで、次の章では、消費税増税と厚生年金保険料上昇以外に、特にご利用者やご家族の経済に対してどのような負担増が予定されているか、代表的なものを整理して皆様にお伝えさせていただきます。
ご利用者・ご家族の経済負担が徐々に上昇!財布の紐は堅くなるばかり!?
2012年においては、6月に児童手当に所得制限が設けられ、住民税の年少扶養控除も廃止されました。また、8月には東京電力管内に置いて電気料金の値上げが実行され、10月には環境税の導入により、家計の圧迫がじわじわと起こっています。また、それだけではありません。2013年以降においても、次のように数多くの負担増が計画されているのです。
2013年 1月 復興特別所得税がスタート(向こう25年間、税額の2.1%を上乗せ)
給与所得控除の上限規制、役員退職金の優遇廃止
個人住民税の増税(退職金の住民税控除の廃止)
2013年 4月 国民年金保険料の増額
2013年 10月 年金引き下げ(-1%) ※2012年11月16日の参議院本会議で成立
厚生年金保険料の負担増
2014年 1月 株式などの配当・譲渡益の税率アップ
2014年 4月 消費税が8%に
国民年金保険料の増額
年金引き下げ(-1%)※2012年11月16日の参議院本会議で成立
2014年 6月 個人住民税の増税(給与所得控除に上限規制)
個人住民税の復興増税(10年間にわたり年間1000円上昇)
2014年 10月 厚生年金保険料の増額
2015年 1月 年金引き下げ(-0.5%)※2012年11月16日の参議院本会議で成立
2015年 4月 国民年金保険料の増額
介護保険料の負担変更(増加の可能性大?)
2015年 10月 消費税が10%に
“ゆでガエル”にならないように! ~介護経営者の心構えと事前準備~
皆様は「ゆでガエル」という言葉をご存知でしょうか?
いきなり熱いお湯にカエルを入れると驚いて飛び出そうとするけど、ゆっくり水を温めていくと、カエルは「気づかず」にゆでカエルになるという話です。
今の状態は正に「ゆでガエル」になる手前段階、即ち、水が温まり始めている状態だと言えるでしょう。
先の日本のことを考えると、増税や負担増は一概には悪いこととは言えないかもしれません。
しかし、ご利用者や社員、会社を守る立場にある経営者にとっては、当然看過できる問題ではありません。経費増大による経営の圧迫、ご利用者・ご家族の家計の圧迫に伴うサービス利用控え等の可能性を睨み先手必勝の精神で、「攻め」「守り」両面の経営を意識し、然るべき打ち手を早めに準備していくことを強くおすすめします。
我々としても、今後、最新情報が入り次第、皆様へ発信させていただくように致しますし、有効な手立てがあれば積極的にご提案をさせていただくようにしたいと思います。
|