9月に開催された「介護給付費分科会」からの抜粋内容を確認しておきましょう
2023年09月29日
2024年度法改正・報酬改定に向け、第1ラウンドがほぼ終了
2024年度介護保険法改正・報酬改定の議論が現在進行形で行われている“介護給付費分科会”。先月末の8月30日に行われて以降、9月に入って8日・15日・21日・27日と、ほぼ1週間に1度の高頻度で開催されてまいりました。
ここまででサービス・テーマごとの見直すべき論点に対する意見交換が一巡し、次ステップとして関連団体からの要望ヒアリングが行われ、その後、恐らく10月中旬以降からいよいよ具体的な改正内容が見え始めてくるかと思われます(解散総選挙等もなく、政局が安定していれば、という大前提ではありますが)。
皆様各々によって興味・関心をお持ちのサービスが異なると思われるため、各サービスの現段階における議論内容は是非、介護給付費分科会のページをあらためてご確認いただきたく思いますが(本ニュースレターの最後部にリンクURLの記載在り)、今日は、それらの中でも全サービスに横断的に関連する興味深い内容として、9月15日に開催された会の中から抜粋して情報をお届けしてまいります。
「制度の安定性・持続可能性」注目すべき内容とは
では、早速、中身を確認してまいりましょう。9月15日の会では合計7種類の資料が提示されましたが、その中の4番目の資料「制度の安定性・持続可能性の確保(以下、「本資料」という)」からの抜粋、加算に関する内容についてです。先ず、p3には「介護報酬の基本報酬と加算について」というタイトルのもと、以下の内容が記されています。
下記表をご覧ください。
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注目すべきは下段の情報でしょう。平成12年(介護保険創設年)と比べて現行の加算の種類の膨らみ、及びサービスコード数の膨らみを数値であらためて確認すると、この爆発的な増加に本当に驚かされます。更に、令和3年度から令和4年度の平均算定率が80%を超える加算は下表(本資料p4より抜粋)のとおり、わずか「12種類(延べ54種類)」しかありません(介護療養型医療施設(短期療養含む)及び総合事業を除く)。
下記表をご覧ください。
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また、令和4年度に算定がなかった加算は、「20 種類(延べ 194 種類)」。それ以外にも同じく令和4年度の平均算定率が1%未満(1月あたりの算定事業所数が平均9事業所以下であるものに限る。)の加算は、 41 種類(延べ 175 種類)にものぼっているようです(詳細は下表。本資料p5より抜粋)。
下記表をご覧ください。
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申し上げるまでもないことかもしれませんが、この状態は本資料のタイトルにもなっている「制度の安定性・持続可能性の確保」から明らかに逆行していることは誰の目から見ても明らかです。またそれだけでなく、これらは事業所における事務負担の増大にもつながっており(=生産性の低下)、次期改正において大胆なメスが入れられることはほぼ間違いない、とみておいて差し支えないでしょう。
議論のプロセスから関心を持って情報を追いかけておくことが大切
以上、今回は加算やサービスコード数の状況をピックアップして確認・言及させていただきました。冒頭部でも申し上げましたが、今回の内容だけでなく、皆様が運営されているサービスや、関心が高いテーマについては是非、早めに目を通されることをおススメします(社会保障審議会(介護給付費分科会)ページの「議題等」の部分をご覧いただければ、いつどんな議題が挙がっているかがお分かりいただけるかと思います)。
介護経営者としてはそれらに目を通す中、「こうなるかもしれない」という最終的な結論だけでなく、「何故このような改正が行われる可能性が高いのか?」という、文字の裏に潜む意図や背景を温度感も含めて理解する姿勢が求められるでしょう。その意味においても早め早めに情報をキャッチアップし、頭の中で“PDCA”を回しつつ、「もし上記が実行された場合、自社にはどのような影響が出てくるか?」「それら想定される影響に対し、どのような対応を行う事が最適なのか?」等々、幹部育成の視点も含め、そのような議論を社内で始めていかれる事を是非、おススメする次第です。
私たちも今後、有益な情報を入手出来次第、どんどん情報を発信してまいります。
※本記事の引用元資料はこちら
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第224回社会保障審議会介護給付費分科会 資料4「制度の安定性・持続可能性の確保」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001146439.pdf
※「介護給付費分科会」ここまでの議論の一覧ページはこちら
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126698.html
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