今後、自地域以外の自治体動向にも目を配る必要があるかもしれません
2024年02月27日
報酬改定以外の気になる動き
介護報酬の改定、及び障がい報酬の改定の全容が出揃った2024年2月上旬。ご自身が取り組まれているサービスにおいてはどのような改定が行われ、それらに対してどのような対策を行うか?多くの経営者の皆様の中では徐々に対応方針、及び具体策が見えつつある時期に差し掛かっているのではないかと推察しています。
中でも今回、全サービス共通で大きな改定となったのは「処遇改善加算」。今回の改定を機に、あらためて分配策について頭を捻られている方も多いであろうそんな中、本改定とは異なる動きであるものの、「これからも各自治体の動きとして、こういうことが起こってくる可能性があるよな」「特に隣県などでは何等かの対策を講じなければならないテーマであることは間違いないよな」と感じるネット記事を目にする機会がありました。
今回は、上記のように感じた記事について皆様に共有させていただくと共に、起こりうる影響についても確認してまいりたいと思います(引用元は本記事の末尾に記載)。
気になった2つの記事とは
では、早速、記事内容を確認してまいりましょう。
引用元は、高齢者介護や障がい福祉の行政情報が分かり易くまとめ・発信されているニュースサイト「JOINT(https://www.joint-kaigo.com/)」です。
先ずは2024年1月9日に同サイトで配信された、「東京都の介護職賃上げ、勤続5年まで月2万円 居宅のケアマネも支給対象 独自策の概要判明」というタイトルの記事を確認してまいりましょう。
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介護職の給与を月1万円から2万円引き上げる東京都の新たな独自策の概要が分かった。
対象は都内で働く全ての介護職員とケアマネジャー。居宅介護支援も含まれる。
相対的に給与水準の低い層にリソースを重点配分することが特徴の1つ。勤続年数が5年以内の介護職員に月額2万円を、6年目以降の介護職員や全てのケアマネに月額1万円を、「居住支援特別手当」という名目で支給する。障害福祉サービスの現場を支える介護職についても、同様の仕組みを作って給与を引き上げる。
東京都は介護職の処遇改善、人材確保につなげたい考え。家賃など生活コストの高さを考慮し、来年度から独自策を実施することに決めた。勤続5年以内の介護職員を優遇するのは、仕事の魅力を高めて入職者の増加・定着に結びつける狙いがある。
今月中にもまとめる来年度の予算案に、414億円の事業費を盛り込む。国が介護職の処遇を抜本的に見直すまでの間、賃上げを継続していくとした。介護分野だけでおよそ15.4万人の介護職員、1.4万人のケアマネが独自策の対象となる。
東京都と施策の立案・調整にあたった都民ファーストの会の後藤なみ都議は、「介護職員に幅広く支給できる制度にすると同時に、ケアマネジャーを対象に含めることにこだわった。国の処遇改善策から外れて給与の逆転現象が起きた結果、ケアマネジャーの人材不足も深刻になっている。地域包括ケアシステムの要の処遇改善は必要不可欠」と説明。「政府には介護職の抜本的な処遇改善を早急に進めて頂きたい。東京都の独自策がその牽引役となれれば。ケアマネジャーも対象に含める、という考え方も当たり前のこととして広めていきたい」と述べた。
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また、2024年1月31日には「東京都、ケアマネ事業所の事務職員の雇用に補助 来年度から新事業 負担減や賃上げ後押し」というタイトルの記事も報道されていました。
こちらも併せて内容を確認してまいりましょう。
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東京都は来年度から、居宅介護支援事業所の事務職員の雇用を後押しする取り組みを新たに始める。
事業所ごとに1人分、事務職員の雇用経費の4分の3を補助する。期待される役割が増えているケアマネジャーの業務負担の軽減を目指す。国の施策と連動させ、事業所の経営の安定化やケアマネの賃上げにつなげる狙いもある。
人材不足が深刻化していることを踏まえ、東京都はケアマネを支援する独自策の拡充に乗り出す。既に月1万円から2万円の賃上げ、更新研修の受講料の軽減などを打ち出しており、これが第3弾の新メニューとなる。
1月26日に発表した来年度の予算案に、こうした新規事業の経費を盛り込んだ。都民ファーストの会の都議らが具体化を働きかけていた経緯がある。
厚生労働省は来年度の介護報酬改定で、事務職員の配置などを要件に1人のケアマネが担当できるケースの数を増やす方針。東京都はこれを念頭に予算案を編成した。事務職員の人件費を補助すれば、居宅介護支援事業所の収入増やケアマネの処遇改善も進むとみている。
関係者によると現在、新たに事務職員を雇う事業所と既に雇っている事業所の両方を補助対象とする方向で調整が進んでいる。施策の実施期間はさしあたり、2027年度の介護報酬改定までの3年間とされた。東京都はそれ以降について、国が同様の施策を全国で講じるべきと指摘している。
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「もし自地域でも同様の事が起こったら・・・・?」ケーススタディとして思考を進めることも
以上、東京都の独自の取組について、2つの記事を引用する形でご紹介させていただきました。
これらの動向に対し、どのような影響が出る可能性が考えられるか?同サイトの別の記事「東京都の介護職賃上げ、隣県の事業所から懸念の声 月2万6千円増に「格差が更に拡大する」」においては、2人の方が次のようなコメントを発信されていた次第です(僭越ながら、我々としても同意見ですのでそのまま引用させていただきます)。
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「前向きで思い切った施策。国の処遇改善が進まないなか、自治体が公費で必要な独自策を打つのは良い判断だ。他の道府県も続いて欲しい。ただ、実際に東京都と同規模の手を打てる自治体は限られる。人手不足は全国で悪化しているため、本来は国が介護報酬の引き上げなど普遍的な施策を講じるべきだ。来年度の報酬改定(+1.59%)だけで足りないことは明らかで、政府は早急に追加策を検討すべき」(淑徳大学・総合福祉学部の結城康博教授)
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「東京都との給与格差はこれまでも課題だったが、より深刻になってしまうという危機感を持った。新たな人材の採用が一段と難しくなるほか、既存の職員の流出にもつながりかねない」「事業所の経営努力だけでは対応しきれなくなってしまう。我々は東京都で働くビジネスケアラーの皆さんも多く支えている。千葉県にも東京都と同様の対策を打って欲しい。また、こうした問題が起きないよう介護報酬を全体として引き上げて欲しい」(隣町が東京都の千葉県市川市で訪問介護や居宅介護支援、通所介護などを運営する株式会社愛ネットの佐々木ゆうこ常務取締役)
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今回のような規模かどうかは別にして、上記のような動きは今後、東京都以外の地域においても展開される可能性は十二分に考えられると思います。その意味では「対岸の火事」として捉えることなく、「もし自地域の近隣で東京都のような取り組みを行う自治体が出てきた場合、どのような影響が出そうか?また、その対策は?」と、早めに思考を動かしておくことも悪くないかもしれません。
我々としても今後、本領域について有益な情報が入手出来次第、発信を行ってまいります。
※引用元サイトのURLはこちら
1)「東京都の介護職賃上げ、勤続5年まで月2万円 居宅のケアマネも支給対象 独自策の概要判明」
↓
https://www.joint-kaigo.com/articles/19704/
2)「東京都、ケアマネ事業所の事務職員の雇用に補助 来年度から新事業 負担減や賃上げ後押し」
↓
https://www.joint-kaigo.com/articles/21105/
3)「東京都の介護職賃上げ、隣県の事業所から懸念の声 月2万6千円増に「格差が更に拡大する」」
↓
https://www.joint-kaigo.com/articles/19729/
4)介護や障がい関連の行政情報が分かり易くまとめ・発信されているニュースサイト「JOINT」
↓
https://www.joint-kaigo.com/
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