令和5年度 介護労働実態調査結果から「離職理由」を確認しておきましょう
2024年08月29日
先月に続き、「介護労働実態調査」の調査結果からピックアップ
2024年7月10日、平成15年度から続く「介護労働実態調査」が今までの年より1ヶ月ほど早く、公益財団法人介護労働安定センターより発表されました。
前回のニュースレターでは主に「採用」「定着(⇔離職)」の概要に絞ってお届けしましたが、今回は「離職理由」について更に1歩深めたデータ・情報を皆様にお届けいたします。「さて、この視点において、自社の実情はどうなっているのだろうか?」是非、そのような視点を持ちつつ、目を通していただければ幸いです。
「離職理由」特に認識・確認しておいたほうが良いデータ・情報とは
では、早速、中身に移ってまいりましょう。
まずは「直前職が介護関係の仕事だった介護従事者の直前職を辞めた理由(複数回答)」についてです。
※下記グラフをご覧ください。
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「収入が少なかったため」「自分の将来の見込みが立たなかったため」等の経済的不満・不安をおさえ、「職場の人間関係に問題があったため」「法人や施設・事業所の理念や運営のありかたに不満があったため」の2点が何年も連続でトップ1,2を占めているのは多くの皆様もご存知の通りかと思います。
そして、この2点をもう少しブレイクダウンしたデータ・情報が下記のものになります。先ずは離職理由のトップ、「人間関係」のブレイクダウンについてです。
※下記グラフをご覧ください。
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「上司の思いやりのない言動、きつい指導、パワハラなどがあった(全体で49.3%、男性で55.2%、女性で47.6%)」「上司の管理能力が低い、業務指示が不明確、リーダーシップがなく信頼できなかった(全体で43.2%、男性で44.4%、女性で43.2%)」と、上司に対する不満がトップ1、2を占めているのが大変興味深いところです。勿論、職員側からの意見だけではなく上司からの意見もヒアリングした上で公正な判断を行うことが適切であることは間違いありませんが、少なくとも「上司と部下との関係性に大きな離職要因が含まれているかもしれない」という仮説は成立するのではないかと思われます。
では、最後のデータを確認してまいりましょう。「辞めた理由のうち、経営理念や運営のあり方等に係る理由の詳細(複数回答)」についてです。
※下記グラフをご覧ください。
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「経営の効率性やリスクを過度に重視しているため、介護の質の向上が二の次になった(全体で30.9%、男性で36.5%、女性で28.9%)」「介護の質の向上の手法・方向性が自分の理想とは異なっていた(全体で30.6%、男性で29.4%、女性で31.1%)」「無駄な業務が多く職員の業務負担への配慮が弱かった(全体で30,0%、男性で32,0%、女性で29.2%)がトップ1,2,3という結果になっています。
特に介護は専門職であること含め、ご利用者のためのスキルアップやいわゆる“介護観”を何より重視する傾向が強く、経営側としてもその意識をあらためて強く認識すると共に、しっかりと社内に発信していくことがより一層、必要とされているのかもしれない、と強く感じた次第です。
自社の現状を把握し調査結果と比較することで対応を検討
以上、3点ほどデータをピックアップして概要・ポイントをお届けいたしました。まだまだ様々な視点のデータが公表されておりますので、詳細は下記URLを参照いただければと思います。
介護経営に携わる方や人事・組織づくりに携わる皆様は、自社の現状を把握し、調査結果と比較することにより、様々な気付きや学び、或いは改善のヒント等を得ることが出来るものと思われます。そのような視点で是非、本情報を有効に活用していただければ幸いです。
私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。
※引用元資料はこちら
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事業所における介護労働実態調査結果報告書(令和5年度)
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousa_jigyousya_honpen.pdf
介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書(令和5年度)
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousa_roudousya_honpen.pdf
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