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平成12年から23年までの「指定取消し等」の全体件数や状況が発表されています。
2013年05月08日

5年連続で毎年100件超の指定取消等が発生。平成23年度は何と単年で166件も。

平成25年3月11日に厚生労働省にて全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議が開かれ、その中で介護保険指導室関係より、平成12年から23年までの指定取消し件数ならびに監査の実施状況のデータが示されました。資料によると、平成12年~23年までの12年の間に指定取消し等(一部又は全部の効力停止を含む)となった事業所・施設の数は何と1,169件。平均すると年間約100件、月間にすると約8件前後の事業所・施設に処分が下されているという計算になります。しかも平成19年度以降は毎年100件を超えており、直近の平成23年度は何と166件の処分、という、耳を疑いたくなるような実態も見えてきました。
自分たちは正しく運営できているのか。自分たちが行っている運営を行政はどのように見ているのか。事業者にとっても、社員にとっても、そして、ご利用者やご家族にとっても最悪の事態となる「指定取消」。このような事態を絶対に起こさないようにするためにも、先ずは指導の中身についてもしっかりと把握しておく必要があると言えそうです。


指定取消しの行政処分が下った主な理由とは?

指定取消し処分等の状況(平成12年度から23年度までの累計)で、法人種別ごとの状況では、営利法人が全体の件数の3/4を占めています。また、サービス種別ごとの状況では、訪問介護(406件)、居宅介護支援(198件)、通所介護(118件)となっています。
また、報告書では、特に1件の取消し事案に対し、複数の取消し事由がある、ということに留意する必要がある、ということが記載されています。
下記は、平成23年度の取消し事由として示されたものです(指摘件数の多い順に列記)。

・介護給付費の請求に関して不正を行った(第77条第1項第5号) 44件
(例1)准看護師がサービス提供していたにもかかわらず、看護師がサービス提供をしたとして減算せずに不正に介護報酬を請求した。
(例2)実際には提供していない訪問介護サービスについて、訪問介護を提供したかのような訪問介護記録を作成し、介護報酬を請求した。

・帳票書類の提出命令等に従わず、又は虚偽の報告をした(第77条第1項第6号) 29件
(例)監査時に虚偽の勤務体制表を報告した。

・不正の手段により指定を受けた(第77条第1項第8号) 29件
(例1)人員基準を満たす訪問介護員の配置を行う予定がないにもかかわらず、事実と異なる内容の指定申請書を提出し指定を受けた。
(例2)他の事業所に既に勤務し常勤として勤務できない従業者を管理者として配置するとして、虚偽の申請を行い指定を受けた。

・人員について厚生労働省令で定める基準を満たすことができなくなった(第77条第1項第2号) 25件
(例1)看護職員が指定基準を満たしていなかった。
(例2)指定時から管理者が未配置のままだった。

・質問に対し虚偽の答弁をし、又は検査を拒み、妨げた(第77条第1項第7号) 22件
(例)監査時に、実際は常勤で勤務していない管理者の勤務形態について常勤である旨の答弁を行った。

・設備及び運営に関する基準に従った適切な運営ができなくなった(第77条第1項第3号) 16件
(例1)サービス提供記録の整備及び保存が適正に行われていなかった。
(例2)利用者に対してケアプランの説明を行わず、同意も得ていなかった。

・介護保険法その他保健医療・福祉に関する法律に基づく命令に違反した(第77条第1項第9号) 6件
(例)当該訪問介護事業所と一体的に運営している障害者自立支援法に基づく事業所が、不正請求により、同法に基づく指定取消し処分が行われた。


自社に関連するキーワードがないかを確認~介護経営者の心構えと事前準備~

本来、実地指導とは、悪いところ探しを目的としているのではなく、よりよい運営をしていくために、行政と事業者が一緒になってどのように運営を行うべきかを考え、行政としての見解からアドバイスを行うものです。
しかし、指導としての観点で行う帳票等確認の中であまりにも不備が多かったり、不正やごまかしの匂いが感じられる場合には、だんだんと厳しい視点での指導に移り変わり、最後には「監査」に切り替わってしまいます。
介護事業者の中には、実地指導の事前対策や、指定取消しにならないようにするためのスキルを身に付けていくことに関心を寄せる方も多いようですが、そのようなその場しのぎの動きだけでは、毎回、行政から連絡が入る度にビクビクするだけです。実地指導という現象面をなぞるだけではなく、そもそも介護事業所として適正な運営とはどのようなものなのか、そのために各々の書類にはどんな意味・意義があるのか、何故行政が事業所・施設に指導に来るのか、どのような観点で指導を行うのか等々、本質的な部分から掘り下げて理解を深めることが何より必要だと言えるでしょう。「コンプライアンス」「リスクマネジメント」という、介護業界で頻繁に使われている言葉を表面上、もしくは対症療法的にとらえるのではなく、「自社の運営レベルを向上させるために必要不可欠な要素」と捉え、日々の運営の中で書類や記録をどう位置づけ、どう活用していくか、という観点で自社のマネジメントを見直してみていただければと思います。
我々としても、今後、上記を含め、介護経営に有益な情報が入り次第、皆様へ発信させていただきますし、有益な対応策等があれば積極的にご提案をさせていただくようにしてまいります。

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