介護経営情報 介護助成金情報

通所介護の論点を今一度、整理しておきましょう。
2014年03月28日

デイサービスは今後、どうなる?

昨今、多くの通所介護事業者と会話をする中で、「要支援者の地域移行に加え、今後の類型化や小規模の地域密着移行等々、我々は一体どうなるのだろう?」という不安の声を数多く耳にします。

他方、その不安の声を上げている事業者が、現段階において保有しておくべき情報を全て網羅しているか、と言えば、決してそうではない、という現実もあるようです。

そこで、今回は、あらためて、通所介護事業者が現段階において理解しておくべきポイントについて、平成25年3月に報告された「地域包括ケアシステム構築における今後の検討のための論点」をベースに確認しておきたいと思います。




抑えるべきポイント・視点とは?

前述の調査報告書には、通所介護事業の今後について、次のような問題提起がなされています。
(特に重要と思う部分については太字にしています)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

通所介護の一日あたりの介護報酬は、(中略)介護老人福祉施設と比べ高額となっている。介護保険料の引き上げが続く中、主に日中のレスパイト機能を提供する通所介護に対して施設より高額の費用を投じることの是非について、改めて検討する必要があるのではないだろうか。

通所介護については、その機能に着眼し、1.預かり機能(レスパイト)に特化したサービス、2.機能訓練を中心とした自立支援の要素の強いサービス、3.専門性を持って認知症ケアに特化したサービス、4.ナーシング機能を持つサービス等に分類・整理することができるのではないだろうか。

すでに要介護者に占める認知症者の割合が6割を超えており、各介護サービス事業所においても、認知症対応は標準的な介護となってきており、認知症対応型通所介護と通所介護の機能を明確に区分している現状をどう考えるか。

通所介護の機能訓練については、(中略)自立支援に資するものかどうかという観点から整理を行う必要があるのではないだろうか。たとえば、現状が維持できる、あるいは重度化をより遅らせることができるといったサービスに期待される機能という視点から介護保険給付のあり方を検討すべきではないだろうか。

前述の通所介護の機能に着目した区分に基づき、それぞれのサービスが報酬に見合ったサービスを提供しているか、あるいは「サービスの提供に専門性を必要とするか」といった視点から、介護報酬にメリハリをつけることについて、検討すべきではないだろうか。

また、比較的高額の基礎的な介護報酬点数に、個別の機能を加算によって評価する現行の報酬体系を改め、すべての機能区分に共通している預かり(レスパイト)機能部分を薄く報酬で評価した上で、専門性の高い機能をより高く評価するといった介護報酬の仕組みを採用することについて検討すべきではないだろうか。

今後、多様な価値観を持つ団塊世代が利用者となってくることを想定し、特に社会参加型の通所介護においては、メニューやアクティビティの多様化が必要になると考えられる。各事業所の創意工夫に基づく有料サービス(全額自己負担)と通所介護との組み合わせがしやすい仕組みの検討等、サービス内容の多様化を進めるべきではないだろうか。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

また、先月25日に開催された全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議においては、通所介護について、以下のようなコメントが為されています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

現在の介護報酬上、小規模型通所介護費の対象となる事業所は、事業所における前年度の一月当たりの平均利用延人数が300人以内の場合、小規模型通所介護として位置づけられるが、今後、地域密着型サービスとして位置づける際には、固定的な基準が必要なため、現行の小規模型通所介護の事業所がカバーされる程度の規模となることを想定し、事業所の利用定員を基準に定めることとしている。具体的な利用定員の数は、現在実施している「通所介護のあり方に関する調査研究事業(平成25年度老人保健健康増進等事業)」の調査結果等も踏まえながら検討する。

小規模な通所介護サービスが地域密着型サービス等へ移行する時期については、(中略)平成28年4月までの間で施行する。尚、地域密着型サービスに移行する際の事業所指定については、事業所の所在市町村の長から指定を受けたもの(施行日の前日において当該市町村以外の他の市町村の被保険者が利用していた場合には、当該他の市町村の長から指定を受けたもの)と見なすこととしており、新たな指定の申請は不要とする予定である。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



早め早めの検討を進めましょう。

現段階において、おさえておくべき情報としては以上になります(お泊りデイに関しては一部の事業者のみに関連する内容なので割愛しています)。

具体的な改訂内容を予測するための次なる情報は、前述の「通所介護のあり方に関する調査研究事業(平成25年度老人保健健康増進等事業)」の調査結果です。こちらは、遅くとも今年の5月中に報告書が完成するとの情報を得ています。情報が入り次第、皆様にもご報告をさせていただきますが、是非、現段階でも検討を進めることが出来るであろう大枠の方向性(4類型の内、どの分類を選択するかetc)については、早めに社内で議論を進めておくことを強くお奨めします。



▲ PAGETOP