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介護給付費分科会における議論のポイントを理解しておきましょう
2014年07月25日

介護給付費分科会から発信される情報は非常に重要

2015年法改正の各論に関する検討が行われている「介護給付費分科会」。本会で話し合われたポイントや論点の多くはそのまま次期改正に反映される可能性が高く、その意味でも、介護事業者としては、ここでの議論の進捗をしっかりと把握しておく必要があるでしょう。今回のニュースレターでは、先月に行われた介護給付費分科会にて取り上げられた2つのテーマを取り上げ、ポイントを抜粋・整理しながら考察を加えてまいります。



抑えるべきポイント・視点とは?(1)~ケアマネジメントについて~

先ず、1点目は、ケアマネジメントについてです。全部で7点掲げられた論点の中で、(1)(2)は、報酬算定のあり方について触れられています。

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(1)居宅介護支援事業所の公正・中立性の確保の更なる推進のため、特定事業所集中減算や独立型事業所と併設型事業所(いわゆる経営グループの傘下にある事業所を含む)のあり方についてどう考えるか。

(2)ケアマネジメントの適正化を推進するため、以下の点についてどのように考えるか。
 1. 福祉用具貸与のみのケアプランに係るケアマネジメントのあり方について
 2. 同一建物に居住する者に対するケアマネジメントについて

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→独立型事業所と併設型事業所で、そもそもの基礎報酬に差が生じる可能性がある、と読み取れる部分については特に要注目かもしれません。

続いて、質の評価に関する視点は以下(3)(4)の通りです。

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(3)ケアマネジメントの質の向上に資することを目的とした評価についてどう考えるか。
 1. 地域全体のケアマネジメントの質の向上という観点から、特定事業所加算についてどう考えるか。
 2. サービス担当者会議における居宅サービス計画と個別サービス計画の連動性を高める取組の必要性についてどう考えるか。

(4)ケアマネジメントや個別サービスの質を評価していくにあたって、ケアマネジメントのデータの活用を推進していくことについてどう考えるか。

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→(3)の 1. については、地域ケア会議の推進と絡めた話として出てくるかもしれません。その他の視点においても、しっかりと頭に留めておいた方が良いでしょう。

最後は、地域包括ケアの推進に伴うケアマネジメントの変化に関する検討事項です。

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(5)インフォーマルサービスなどの地域資源の積極的な活用促進の観点から、ケアプランに位置づけられたサービスがインフォーマルサービスのみの場合の評価についてどう考えるか。

(6)保健・医療・福祉サービスが、総合的かつ効率的に提供されなければならないが、ケアプランに位置づけられているサービスのうち、退院直後のリハビリテーションなど必要なサービスが十分に提供されていないという指摘もある。このため、自立支援に資するケアマネジメントの実践、多職種連携の強化及び地域ケア会議、在宅医療介護連携推進事業の活用について推進すべきではないか。

(7)新しい地域支援事業の導入・実施に伴い、介護予防給付の利用者が総合事業を利用するようになるなど、介護予防支援の仕組みが変わることを踏まえた対応をどう考えるか。

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以上がケアマネジメントの変更に関する検討事項です。続きまして、区分限度支給額変更に関する議論のポイントを見てまいりたいと思います。



抑えるべきポイント・視点とは?(2)~区分限度支給額の変更について~

区分限度支給額に関する議論は次の通りです(ケアマネジメントのようにテーマ論点別には分類していません)。

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(1)受給者1人当たり平均費用額が限度額に占める割合や、利用者に占める限度額を超えている者の割合が、要支援1・2を除き、趨勢的に増加傾向にあることをどう考えるか。他方で、平成22年に実施した区分支給限度基準額を超えてサービスを利用している者などの実態調査を踏まえれば、引き続き、ケアマネジメントの質の向上を併せて行っていく必要があるのではないか。
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→消費税率が引き上げられたことに伴う影響分を機械的に引き上げた平成26年度改定時以外は限度額の見直しを行っていないこと、また、今後、在宅の限界点を高める必要があること等を考えると、確かに限度支給額を上げるという方策は検討に値するものではあると言えるでしょう。しかし、その策を講じた場合、必然的に財政規模が大きくなる可能性が高まることに加え、超過者のケアプランの内容について、市町村におけるケアプラン点検者による評価では、「見直す余地がある」という意見が9割もあることを考えると、全体の底上げについては慎重な姿勢で対応してくるであろうことが、この文言からは予想されます。

他方、以下の文言を読む限り、国として今以上に促進を図りたいと考えている包括報酬サービス(定期巡回・随時対応サービス、複合型サービス、小規模多機能型居宅介護)に関してのみ、限度額上昇に着手する可能性もあるでしょう。

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(2)定期巡回・随時対応サービス
 1. 定期巡回・随時対応サービス利用者の他の介護サービスの利用状況をみると、福祉用具貸与と通所介護の利用(月8回程度)は標準的と考えられるが、これらのサービスの基本サービス費(定期巡回・随時対応サービスは通所介護利用日における減算前)を合算すると、要介護2~5では合算額が限度額を超過しているが、この点をどう考えるか。
 2. 通所介護利用日(月8回程度)における減算後の基本サービス費で合算しても、要介護4、5では合算額が限度額を超過していることをどう考えるか。

(3)複合型サービス
 1. 複合型サービス利用者の他の介護サービスの利用状況をみると、福祉用具貸与の利用は標準的と考えられるが、これらのサービスの基本サービス費を合算すると、要介護2~4では限度額の上限にほぼ相当する水準となっているが、この点をどう考えるか。また、今後、利用者の重度化が更に進展していく中で、限度額との関係が問題になることをどう考えるか。

(4)小規模多機能型居宅介護
 1. 小規模多機能型居宅介護についても同様に福祉用具貸与と医療系サービスの組み合わせが標準的と考えられ、状況によっては限度額を超えるが、この点をどう考えるか。また、今後、訪問などの機能強化を図っていくこととした場合、限度額との関係が問題になることをどう考えるか。

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最後に、限度額を増加させること以外の方法として、下記のような対応も検討されていることを頭においておきましょう。

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(5)なお、限度額に含まれない加算を拡大していくことでも、限度額の引上げと同様の政策効果が期待できるが、この選択肢についてどう考えるか。その際は、限度額に含まれていない現行の加算との整合性も考える必要があるがどうか。
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現段階での情報をしっかり理解し、自分なりの仮説を予め検討しておきましょう

今後、介護給付費分科会からは、次期法改正の具体案が推測できそうな情報が数多く発信されてきます。その意味でも、我々としては、本会、及びその他の厚生労働省から発信される情報に対してしっかりとアンテナを張り、特に自らの事業に直接関連がありそうな内容については一つ一つの情報をしっかりと咀嚼し、仮説を立てると共に、可能な部分から準備に着手していくぐらいの心構えとスピード感が必要だと言えるでしょう。
我々としても今後、新たな情報が入り次第、皆様にも随時ご報告をさせていただきますので、是非、自社の今後の検討に活かしていただければ嬉しく思います。



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