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居宅サービスの更なる連携が重視されつつあります
2014年09月29日

居宅サービスに関する議論が介護給付費分科会でいよいよ開始

昨年12月20日、介護保険部会にてまとめられた「介護保険制度の見直しに関する意見」では、在宅サービスに対する見直しの方向性について、
1. 個々の事業所単位だけではなく、広く事業所間で連携し事業運営できる仕組みの構築
2. 地域で不足している看護職員等の人材を柔軟に配置できるような連携体制の構築
3. 介護事業者が地域における生活支援サービスに積極的に取り組むことができる体制の構築
という3つの切り口が挙げられました。この内容を受け、更に踏み込んだ議論を行ったのが、2014年8月27日の介護給付費分科会における、「居宅サービスの機能と連携の在り方について」という議論です。
今回のニュースレターでは、それらの議論の内容を確認しつつ、今後の変化について考えてまいります。



抑えるべきポイント・視点とは?

8月の給付費分科会では「居宅サービスに求められる機能」として、先ず、次のような整理が為されました。

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○ 居宅サービスは、「心身機能」、「活動」、「参加」などの生活機能の維持・向上を図る機能、生活援助としての機能、家族介護者の負担軽減を図る機能のいずれかの機能を発揮して自立を支援するサービスと考えられる
○ 認知症高齢者や重度の要介護者が増加していく見込みの中で、在宅の限界点を高めるため、今後は、これらの機能を効果的・効率的に組み合わせ、バランスよく働きかけることで、高齢者の在宅生活を支える仕組みが重要であり、特に、居宅系サービスの認知症高齢者や重度の要介護者に対する対応力を高めていくことが求められる。

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上記内容を視覚的にとらえたものが下図になります。
(最下部、◆居宅サービスの機能◆をご参照下さい)

この議論の特徴としては、「通所介護」「訪問介護」というサービス提供スタイルによる分類ではなく、あくまで「機能」に着目している、という点です。そして、その前提のもと、訪問サービス、通所サービス、訪問サービスと通所サービス、各々の連携の期待効果について、以下のような整理が為されています。

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【訪問系サービスにおける多職種連携効果により期待される効果(主に介護とリハの連携)】
○ 介護職がリハビリテーション専門職と共同してアセスメントを行うことで、介護職はトイレ動作などのADLや家事などのIADLに関する本人の生活行為能力を把握でき、過介護を予防し、本人の有する能力を引き出す介護が提供できる。
○ リハビリテーション専門職が訓練によって向上させた生活行為の能力を、介護職が生活の中での支援に活用することで、リハビリテーション専門職自らが訓練に毎日訪問せずとも日常生活での実践ができ、自立に結びつけることができる。また、看護職と介護職が連携することで、介護職は利用者の心身の状況や介護の内容に応じて24時間の在宅支援の中で介護が必要な時間に訪問系サービスを提供することが可能となる。
○ 看護職がアセスメントを行い、予後予測に基づくアドバイスを介護職へ行うことにより、介護職は医療の視点に基づく利用者の身体状況や病状の変化を踏まえた状態を把握でき、また、ターミナルを含む重度の要介護者に対しても在宅における介護が提供でき、これにより緊急時における適切な対応に結びつけることもできる。
○ リハビリテーション専門職と看護職とが連携することで、身体機能の改善、動作練習、適切な福祉用具の活用や住環境の整備、社会資源の活用などの双方の視点から多面的なアプローチが可能となり、より効果的な自立支援につながる。
○ リハビリテーション専門職が看護職と連携することで医療ニーズの高い重度者に対し、リスク管理をしつつ、在宅での生活訓練を実施することができる。

【通所系サービスにおける多職種連携により期待される効果(主に介護とリハの連携)】
○ 介護職とリハビリテーション専門職が共同してアセスメントを行うことで、生活機能の維持・向上に資する 効果的な通所サービス計画が作成でき、より充実したサービスを提供することができる。
○ リハビリテーション専門職と介護職の連携により、介護職が利用者の持てる能力を伸ばすことのできる介護が提供でき、特に重度者に対しても機能維持ができるかかわりが可能となる。
○ 看護職との連携により、通所系サービスにおける医学的管理が必要な重度の要介護者の受け入れが可能となり、家族介護者の負担軽減を図り、在宅の限界点を高めることができる。
○ 看護職がアセスメント行い、予後予測に基づくアドバイスを介護職へ行うことにより、介護職は医療の視点 に基づく利用者の身体状況や病状の変化を踏まえた状態を把握でき、緊急時における適切な対応に結びつけることができる。

【訪問系と通所系のサービスの連携(一体的・総合的な提供)により期待される効果】
○ 訪問により実際の生活場面の把握を行い、生活場面で明らかになった課題を通所に反映させて、例えば生活機能の維持・向上のための機能訓練を行うなど、訪問と通所を効果的に組み合わせることにより、在宅での生活を継続しやすくすることができる。
○ 閉じこもり者や重度者などに対し、段階的に同一の担当者が訪問での利用者の心身の回復状況を把握しつつ、通所に向けてのタイミングを的確にとらえ、支援に活かすことができる。(重度の利用者が通所系サービスを利用できるようになることで、重度者の孤立の防止や家族の心理的負担軽減を図ることができる。)
○ 訪問系と通所系の連携もしくは併設で、事業所間での職種の有効活用が図れ、重度者や認知症者などの多様なニーズへの対応や利用者の有する能力を最大限に引き出すケアなど、効果的・効率的なサービスの提供が可能となる。

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そして、上記期待効果を背景に、最終的に提示された「主な論点」が以下の内容です。

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(1)
訪問系サービスと通所系サービスはいずれも居宅における高齢者の自立を支援するためのサービスであり、本来、これらは連携しつつ提供されることが効果的・効率的と考えられ、求められる機能や基準の考え方も基本的には同じであることから、これらを一体的・総合的にとらえた機能分類や評価体系が必要ではないか。

(2)
このような考え方に基づき、たとえば同じようなサービスの提供については報酬上も同じような機能として評価する等、今後、より一層の機能的な連携を図るとともに、異なる機能や役割についての明確化を図る必要があるのではないか。その際、担っている機能を明確にするための客観的な機能評価も合わせて導入することを目指すべきではないか(例:心身機能の回復に重点的に取り組むサービスを提供するのであれば、事業所における機能回復の程度を評価する必要があるのではないか。)。
また、アセスメントに基づく個別サービス計画の立案などPDCAに基づくサービス提供を行うことや、他の事業者や専門職等との連携、利用者の社会性の維持などの居宅サービスにおける基本的な取組を更に徹底する必要があるのではないか。

(3)
特に居宅において、今後急速に増大する認知症高齢者を含む重度要介護者や、複数の慢性疾患を合併する医療ニーズの高い高齢者への対応を見据えた効果的・効率的なサービス提供体制を確保することが求められる。そのためには、各居宅サービスが有する専門職を有効に活用することが重要であり、今後の在宅医療・介護連携の推進も踏まえ、更なる多職種連携の充実が必要ではないか。

(4)
高齢者に対する「心身機能」、「活動」、「参加」のそれぞれの要素にバランスよく働きかける効果的なリハビリテーションが徹底できていないことについて、どのように考えるか。また、居宅サービスにおけるリハビリテーション機能の役割や位置づけについて、通所介護や訪問介護との役割分担や連携等も含め、居宅サービス全体の機能や連携の在り方の中で再整理する必要があるのではないか。このような現状を踏まえながら、バランスのとれた効果的なリハビリテーションを今後更に推進するためには、地域における高齢者リハビリテーションのあり方を改めて検討する必要があるのではないか。

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現段階での情報をしっかり理解し、自分なりの仮説を予め検討しておきましょう

上記論点に基づき、次回の法改正では、「連携」をキーワードにした新たな加算(共同でプラン作成に取り組むetc)や、実現可能な情報共有体制の在り方等が示されるのかもしれません。事業者としては、同一法人内、或いは別法人との連携を進めるにあたり、どのような工夫や対応が考えられるのか、自分なりの仮説、並びに仮説に基づいた準備(どこと組むか、自社内で準備するかetc)を模索しておいた方が良いと言えるでしょう。我々としても今後、最新情報、並びに好事例情報等が入り次第、積極的に共有させていただきます。



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