財務省が提唱する、次期法改正のポイントをあらためて理解しておきましょう
2015年10月29日
財政制度分科会において、財務省の意向が明確化
診療所等の外来対応施設を持たない「訪問専門医療」や、療養病床の転換機能としてにわかに注目を浴びている、医師の設置を要件としない「SNW(スキルドナーシングワード)」等、特に医療分野において、新たなサービス体系の議論が活発になってきた2015年10月。地域包括ケアにおいて、医療・介護の連携が不可欠となることを考えると、介護事業者としても、医療の動きについて今まで以上に敏感になっておくことはとても大事なことです。
一方、そんな中、国のお金の番人とも言える財務省は2015年10月9日、同省が主催する財政制度分科会において、医療・介護も含めた「社会保障」に対する財政面からの考え方について新たな言及を行いました。
現時点ではあくまで財務省の意向に過ぎない本情報ですが、今後、国としてオーソライズされる可能性も高く、介護事業者としては早めに抑えておく必要があろうかと思います。今回のニュースレターでは、特に介護分野に対する財務省の発言のポイントを確認しておきたいと思います。
財政制度分科会で語られた「介護保険制度に対する改革の方向性」とは
本分科会で語られた内容について、介護分野において特に注目すべき内容は、下記2項目です。
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【テーマ】
介護保険における利用者負担の在り方
【改革の方向性】
2割負担の対象者の見直し:医療制度との均衡を踏まえて、65~74歳について原則2割に見直し
【検討・実施時期(案)】
速やかに関係審議会等において制度の実現・具体化に向けた検討を開始し、28年末までのできる限り早い時期に結論を得て、その結果を踏まえ、遅くとも29年通常国会に所要の法案を提出
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【テーマ】
介護保険における軽度者に対する生活援助サービス・福祉用具貸与等・その他のサービスについて、給付の見直し・地域支援事業への移行を含めた検討
【改革の方向性】
・軽度者に対する生活援助の原則自己負担(一部補助)化
・福祉用具貸与・住宅改修に係る価格及びスペックの見直し、原則自己負担(一部補助)化
・要介護1・2への通所介護サービス等について、自治体の予算の範囲内で実施する仕組み(地域支援事業)
へ移行
【検討・実施時期(案)】
・福祉用具貸与及び住宅改修に係る価格及びスペックの見直しについては、速やかに関係審議会等において制度の実現・具体化に向けた検討を開始し、28年末までのできる限り早い時期に結論を得て、速やかに実施
・生活援助及び福祉用具貸与、住宅改修に係る原則自己負担(一部補助)については、速やかに関係審議会等において制度の実現・具体化に向けた検討を開始し、28年末までのできる限り早い時期に結論を得て、その結果を踏まえ、遅くとも29年通常国会に所要の法案を提出
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早めの心構えと対策立案を
前述の通り、本情報はあくまで「財務省単体としての意向」であり、国としてオーソライズされた確定情報ではありません。しかし、「2020年度プライマリーバランス黒字化」という大命題を背負っている現政権にとって、社会保障財政の改革はとても大きな意味を持っている、ということを考えると、これらがいずれ、国の方針として法制化される可能性が高い、という読みを持っておいた方がいいのは間違いないでしょう。
いずれの項目も、「検討・実施時期(案)」において、「遅くとも29年(=2017年)通常国会に所要の法案を提出」と書かれている、ということは、換言すると、「30年度(=2018年度)の法改正にこれらを反映し、実行に移すぞ」という意味だと捉えるのが自然です。
「65~74歳のご利用者は原則2割負担」
「軽度者に対する生活援助の原則自己負担(一部補助)化」
「福祉用具貸与・住宅改修に係る価格及びスペックの見直し、原則自己負担(一部補助)化」
「要介護1・2への通所介護サービス等の地域支援事業への移行」
これらが一気に実施されるとした場合、自社の経営にはどんなインパクトが生じるのか?少しずつでも予測を始めてみることが重要です。
とはいえ、このまま順調に議論が進んだとしても、まだ制度施行まで約2.5年(=2018年4月までの間)ほどあります。事業者の皆様には、後で慌てないための「事前の心構え」を持つこと、並びに、拙速に動く必要はないものの、「現時点から何か手を打てることはないか?」について、情報感度高く、アンテナを張り巡らせておくことを強くおススメします。我々としても、更なる有益な情報が入手でき次第、皆様にどんどん情報を発信してまいります。
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