新たなキーワード?「地域共生社会」について概要を理解しておきましょう
2016年06月30日
「地域共生社会推進本部」設置も間近
2016年6月2日に閣議決定された“ニッポン一億総活躍プラン”にも盛り込まれ、同月20日にも塩崎厚生労働大臣があらためて言及したコンセプト「地域共生社会」。今後、この概念を具体化させていくために、塩崎大臣自らをトップとする「推進本部」の設置が行われると共に、本コンセプトの具体策が次期法改正・報酬改定に一定の影響を及ぼすと言われています。
今回のニュースレターでは、この新たなキーワードと言っても過言ではない「地域共生社会」について、概要を確認してまいりたいと思います。
「地域共生社会」の具体的な内容とは
先ず、一億総活躍社会実現のための具体策を示した“ニッポン一億総活躍プラン”に、“地域共生社会”という概念がどのように説明されているのかについて、予め確認しておきましょう。下記はその抜粋となります。
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子供・高齢者・障害者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる「地域共生社会」を実現する。このため、支え手側と受け手側に分かれるのではなく、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域コミュニティを育成し、福祉などの地域の公的サービスと協働して助け合いながら暮らすことのできる仕組みを構築する。また、寄附文化を醸成し、NPO との連携や民間資金の活用を図る。
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また、6月20日に行われた塩崎厚生労働大臣の会見内容についてレポートされた記事も公開されていましたので、そちらも合わせてご確認下さい(以下、記事全文より弊社判断にて重要部分のみ抜粋)。
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塩崎恭久厚生労働相は20日、高齢者や障害者、子どもといった既存のジャンルを超えた福祉サービスの普及を進めるため、自らをトップとする推進本部を設置する方針を明らかにした。「省として本気で正面から取り組む。改革の検討を加速していきたい」という。介護保険の次の制度改正・報酬改定を視野に、具体的な施策を協議していく意向も表明。「審議会で今後、本格的に議論していただこうと考えている」と述べた。
塩崎厚労相はこの日、三重県四日市市を訪ねて社会福祉法人などを視察。「地域共生社会」を目指す先駆的な取り組みに触れた後、「これを国民運動にしていきたい。厚労省に本部を立ち上げて正式に推進していく。硬直的な縦割りの制度だけでなく、新しいモデルをつくっていかないと日本の人口問題は乗り切れない」などと語った。その実現に向けては、分野横断的なサービスを展開していくことや複数の専門資格を取りやすい仕組みをつくること、複雑なニーズにも対応できる相談体制を整備することなどが、「今後の方向性」として掲げられた。塩崎厚労相は20日、「これまでの地域包括ケアシステムは、高齢者施策の文脈で語られてきた面がある。今後は地域共生社会。地域に暮らす人全員をケアする、すべての市民・住民のための地域づくり、そんな意味合いに進化させたい」と説明。「そうしたサービスを制度としてしっかりと位置付ける。財源の手当ても考えていく」と意欲をみせた。新たな「推進本部」では、老健局や社会・援護局など関係する部局の幹部が集まり、プランの「今後の方向性」で打ち出した施策などの調整にあたる。塩崎厚労相は21日の閣議後会見で、「国民生活の新しい局面にあった制度を1日も早くつくっていく。なるべく早く本部を立ち上げたい」との意向を示した。
(記事参照元:http://www.joint-kaigo.com/article/pg190.html)
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「分野横断的なサービス」の具体的なイメージとして、代表的な先駆事例としては、高齢者、障害者、子どもなど、多様な利用者が支え合いながら福祉サービスの提供を行っている「富山型デイサービス」や、高齢者や障害者が、子育て支援にボランティアとして参画して活躍し、子どもも高齢者や障害者に元気を与えて活躍している三重県名張市の「おじゃまる広場」「子ども支援センター」等が挙げられます。
※最下部の「資料1:地域の実践例」をご覧ください
また、「複数の専門資格を取りやすい仕組みをつくる」部分については、現在、医療・福祉の複数資格に共通の基礎課程を創設し、資格ごとの専門課程との2階建ての養成課程へ再編することや、資格所持による履修期間の短縮、単位認定の拡大を検討していること等が挙げられるでしょう。
※最下部の「資料2:共通基礎課程のイメージ」をご覧ください
“受け身”ではなく、“主体性”を持った検討を
地域住民個々の“QOL”という視点においても、また、生産年齢人口の減少という“国策的課題に対する解決策”という視点においても新たな可能性を予感させる「地域共生社会」というコンセプト。厚労大臣自ら旗振り役を務める推進本部を設置する、という発言からも、国が本腰を入れて取り組む意志の表れだと理解して差し支えないでしょう。
事業者の皆様としては今後の動向をしっかり注視すると共に、行政施策の後追いに終始するのではなく、参考事例等から独自にヒントや気付きを得ながら、「どんな地域社会を生み出す事が出来れば、地域の人たちに愛され、必要とされ、関わる全ての方々を幸せに出来るのだろうか?」と、(他人事ではなく)自社事としての“ビジョン”をあらためて考え始める必要があるのではないでしょうか。私たちも今後、有益な情報を入手出来次第、どんどん情報を発信してまいります。
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