「平成28年度厚生労働省第二次補正予算(案)の概要」について理解しておきましょう
2016年08月31日
「平成28年度厚生労働省第二次補正予算(案)」が閣議決定
今秋の臨時国会での審議・通過を前提に、8月24日(水)に閣議決定された「平成28年度第二次補正予算(案)」。 厚生労働省が提出した予算案の総額は5、698億円、内、「1億総活躍社会」関連の予算が4,477億円(全体の約8割)で、その内訳は(1)安心して子どもを産み育てられる環境の整備(626億円)、(2)介護人材の確保、介護離職防止の推進等(166億円)(3)社会全体の所得と消費の底上げや働き方改革の実現(3,685億円→低所得者に1万5000円の現金を配る施策が中心)となっています。
今回のニュースレターでは、「平成28年度厚生労働省第二次補正予算(案)の概要」の中から介護事業者に関連がある項目を抽出し、皆様にお伝えしてまいりたいと思います。
介護業界に関連する第二次補正予算(案)」の具体的内容とは
「平成28年度厚生労働省第二次補正予算(案)の概要」の中で、特に介護事業者がおさえておくべき必要があると思われる項目は、次の11点です。先ずは、介護人財の確保・定着、地域包括ケアシステムの促進に関連する予算項目5点から確認してまいります。
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【その1】介護人材についての再就職準備金貸付事業の拡充 (10億円)
いったん仕事を離れた人が再び仕事に就く際の再就職準備金貸付事業について、介護人材の確保が特に困難な地域において再就職準備金を倍増するなどの拡充を行う。
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⇒現場を離れた人に戻ってきてもらう呼び水として設けられ、復帰を条件に最大で20万円を貸し付け、2年間にわたって仕事を続ければ返済を免除する仕組みの「再就職支援準備金」。今回の上積みにより、「人材の確保が特に困難な地域において、準備金を倍増(20万円→40万円)するなどの拡充を行う」という方向性が示されています。自社の管轄自治体がどのような対策を講じるのか、要注目の情報です。
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【その2】介護ロボットの導入支援及び導入効果実証研究事業(4億円)
介護施設等への介護ロボットの導入支援を行うとともに、介護ロボットを導入した場合の介護業務の効率化・負担軽減効果について実証検証を行う。
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⇒昨年度の補正予算で約50億円もの予算が設けられた「介護ロボット等導入支援特別支援事業(※)」と比較すると小粒な動きに見えるかもしれませんが、生産性向上を目的として、国が「介護ロボット」の導入を促進・加速させたいという意向を持っている事は間違いありません、事業者としてもポジティブにとらえていく必要がありそうです。
※最大300万までの介護ロボット導入費用を10/10助成する事業。その後、申込過多により上限額を3分の1以下に減額。
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【その3】介護サービスにおけるICT活用調査研究事業(2.6億円)
ICTの活用による介護事業所での事務負担軽減や生産性向上の効果について、事業者、保険者、システム関係等の有識者による検討やモデル事業を行う。
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⇒「生産性の向上(業務効率・労働時間短縮)」「海外人材対応(日本語を話すことは出来ても書くことは難しい)」「未来の経済的可能性(アジア国等への輸出展開)」を視野に、特に運営記録関連書類のICT化は今後、益々促進されてくることは間違いありません。事業者としてもこの動きに対応すべく、タブレットの導入等、ICT化に対して準備・本腰を入れていく必要があるでしょう。
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【その4】介護人材の処遇改善に伴う財政安定化基金への特例的積増し(20億円)
介護人材の処遇改善を平成29年度から遺漏なく実施するため、保険料の上昇回避のための財政安定化基金への特例的積増しに要する費用について、補助を行う。
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⇒来年度から開始される「介護職員の給与月額平均1万円底上げ」の為の予算です。当然ながら全職員に等しく1万円支給しなければならない、という訳ではなく、あくまで「平均1万円の底上げ」を実現すればよい事を含め、本財源をどう自社の人事戦略に活用していくか、早めに検討・決定しておいた方が良いと思われます。
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【その5】地域づくりによる介護予防推進事業(1億円)
地域づくりを通じた効果的な介護予防の取組事例を収集し、地域の実情に応じた住民主体の通いの場を全国に構築するための手法を分析・提示するとともに、住民に助言指導する都道府県等職員向けの研修を実施する。
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⇒効果的な活動事例は草の根的に徐々に出始めているものの、まだまだ初動段階・暗中状態にあると言っても過言ではない「地域包括ケアシステム」。是非、様々な情報を「見える化」「共有化」することで、活性化を実現していただきたく思います(これは現時点では「事業者」というよりも「自治体」の動きに紐づく予算です)。
続いて、施設整備に関する2点の予算について確認してまいります。
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【その6】障害福祉サービス等の基盤の整備推進、防犯対策の強化(118億円)
障害者等のグループホームや就労支援事業所等の整備に要する費用について、補助を行う。また、障害者支援施設等の防犯対策を強化するため、非常通報装置・防犯カメラの設置や外構等の設置・修繕などの必要な安全対策に要する費用について、補助を行う。
【その7】高齢者施設等の防災対策等(44億円)
高齢者施設等の防災対策を推進するため、スプリンクラーの整備、耐震化等に要する費用について補助を行う。また、防犯対策を強化するため、非常通報装置・防犯カメラの設置や外構等の設置・修繕などの必要な安全対策に要する費用について、補助を行う。
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⇒特に「防犯対策強化」に関しては、やはり、相模原の事件が大きく影響しているのでしょう。
最後に「雇用(管理)」の観点から4点の予算を確認してまいります。
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【その8】介護離職防止のための支援(介護離職防止支援助成金(仮称))(11億円)※特別会計
仕事と介護の両立に資する職場環境整備に加え、労働者の円滑な介護休業の取得・職場復帰や介護のための時差出勤制度などを実現した事業主を支援する。
【その9】生活保護受給者等を雇い入れる事業主への助成措置の創設 (制度請求)
ハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者として生活保護受給者等を新たに雇い入れた事業主に対し、助成金を創設する。
【その10】キャリアアップ助成金の拡充 制度要求(制度請求)
中小企業において有期契約労働者等の賃金規定等を改訂し、3%以上増額した場合、生産性向上を加味し、助成額の加算を行う。
【その11】65歳超雇用推進助成金(仮称)の創設 (6.8億円)※特別会計
65歳以上への定年の引上げ、定年の廃止、希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入のいずれかの措置を実施した場合に、当該措置の内容に応じて一定額を助成する65歳超雇用推進助成金(仮称)を創設する。
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戦略的視点で取り組み検討を
国が「予算を確保する」ということは即ち、「国としてこの分野・テーマに注力する(=お金をかける)」ということと同義であり、その意味においても、特に上記11点の情報・視点は、介護事業者として要注目すべき情報であることは間違いありません。是非、戦略的視点を持ちつつ、「この情報をどう活用・取り込み出来るか?」という発想で、社内で検討されてみることをおススメ致します。
私たちも今後、更に有益な情報を入手出来次第、どんどん情報を発信してまいります。
※「平成28年度厚生労働省第二次補正予算(案)の概要」資料の原本をご覧になりたい方はこちら↓
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/16hosei/dl/16hosei02.pdf
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